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背 景

国境を越えるガバナンス
国、地域、世界

 市民は、自らが属する社会の成功に関わりを持っています。それゆえ、社会をうまく機能させるために意見を表明する場を与えられなければなりません。21世紀の幕開けにあたり、優れたガバナンスの世界基準とは、民主主義であり、公正なものの見方であり、そして多元主義であるとされています。その目的は、行政上の意思決定において、市民が完全かつ公正に参加すること、並びに人権および少数派の権利が確実に保護されることにあります。民主主義を標榜する国の数は過去50年間で大幅に増加しました。

 優れたガバナンスの国内レベルでの基準が参加と公開性にある一方で、それとは逆に、私たちの生活に影響する決定が、国の領域を超え、アカウンタビリティ(説明責任)、参加、そして透明性において同じ基準を満たしていない組織によってますます下されるようになってきていると批判する声もあります。欧州連合(EU)は、集団的なアプローチが個人、地方、あるいは国家的アプローチよりも効率的であるという分野において、国家主権を委譲するという原則に基づいています。これが、「補完性の原則 (subsidiarity principle)」 と呼ばれるものです。欧州委員会のロマーノ・プロディ委員長は、「EUにおいて『ガバナンス』について話す時、実際には私たちは民主主義について論じているのです。欧州における民主主義がどのように機能し、なぜそれがよりよく機能しないのか、そして民主主義が今後どうなっていくのか、ということを論じているのです」と述べています。


正義の規範:国、地域、 そしてグローバルな規範

 政治的合法性並びにガバナンスの基準については、明らかに国際化が進んでいます。政府の形態、人権と男女平等、開発の権利、健康、そして教育のすべてが国際的な課題、あるいはグローバルな課題としても浮上してきています。人権と正義について、私たちは、基準の普遍化が「国家」の基準とプロセスに影響を与え得ることを認識しています。国際刑事裁判所の規定は、人道法の国際化の精神とプロセス双方における道標です。しかしながら、国際的な正義が支持される時、それは必然的に「政治的」決断なのでしょうか。国際的な正義が「勝者の正義」ではないことを、私たちはどのように保証すればよいのでしょうか。


経済的ガバナンスと持続可能な開発

 国際連合のコフィ・アナン事務総長は、「優れたガバナンスは、貧困を撲滅し開発を促進するにあたり、唯一且つ最も重大な要因であると言えるかもしれません」と述べています。今日、世界中で約30億の人々が一日あたり2ドル未満、約13億の人々が1ドル未満で貧困のうちに暮らしています。国際開発プロジェクトに関わる成功と、汚職や不適切な政策という問題点双方が混在するということは、開発援助におけるガバナンスに関するデリケートな問題を際立たせてきました。これは招かれざる干渉の形なのでしょうか。「条件による制約」および汚職や人権といった課題は、国際的な開発の取り組みと結びつけて考えた場合には、今後も議論の余地があります。国際金融の舞台にいる関係者の透明性とアカウンタビリティもまた同様に繊細な問題です。


ガバナンスの地域モデルの比較:主権の共有

 公共政策は以前にも増して地域的なレベルで取り組まれつつあり、異なった国家規範と伝統にもかかわらず、歴史的な協力関係が生まれつつあります。EUが共通の目標と利益を追求するのはそうした事例の一つと言えます。欧州におけるガバナンスのモデルは、全く異なった状況にあるその他の地域でも適切な参考事例となり得るのでしょうか。


会議の主要議題

  • 国家主権は、地域およびグローバルレベルでの開発と並行していかに展開していくのか。
  • 支援プログラムにおける「条件による制約」は、開発の障害である汚職対策に関し、どのような目標を決定することができるのか。
  • EU型モデルではグローバルな課題に取り組む際、その意志決定過程において、市民、メディア、企業などの声を反映させている。このモデルは、その他の地域で受け入れられるのか。
  • 国際政治は、貧困および不平等をなくす地方の取り組みに対して、どの時点でいかに関わり、どのような肯定的、否定的な影響を与えるのか。

  • 国連大HP